第1回 キャプテンズ・ログ (クイーン・アンのインガー船長)
2023年3月8日
キュナード初の女性船長インガーが、来年5月に初航海に出る同社249隻目の船の舵を取るまでの準備段階をご紹介します。 この新しいキャプテンズ・ログ・シリーズでは、記念すべき節目や同社自慢の設備、その他にスポットライトを当てます。
今後1年にわたり、フィンカンティエリからクイーン・アンの節目や最新情報が定期的に発表されます。この初回では、プロジェクトが重要な段階に入ったことをインガー船長が綴りました。
もうすぐ、新造船クイーン・アンに乗船できるチャンスがやってきます。この船は、キュナードの最新の豪華客船で、歴代249隻目の船です。現在、イタリアのフィンカンティエリ造船所で建造中です。これから数ヶ月、ベニス近郊のマルゲラで過ごすことを楽しみにしています。
この造船所は、クルーズ船を作る場所としてはとても特別なところです。カナル・グランデから水上タクシーで造船所に行くのも、ひとつの大きな体験です。
ここからキャプテンズ・ログをお届けし、クイーン・アンが命を吹き込まれる過程を皆様にご紹介します。
マルゲラの広大な造船所は、キュナードの歴史が色濃く感じられる場所です。実は、私が以前船長を務めたクイーン・ヴィクトリアもここで建造され、2007年にキュナードに納入されました。また、フィンカンティエリは、私が前回船長を務めたクイーン・エリザベスも(モンファルコーネ造船所で)建造しました。
技術的には、この姉妹船たちは非常に似ています。どちらの船も、フィンカンティエリとキュナードの専門チームが手がけた「ビスタ」クラスのデザインから進化したものです。初めてそれぞれの船に乗った時のことを、今でもはっきり覚えています。船体のクオリティや航行性能、そして私が自由に操縦できる洗練された操舵室の装備には、感銘を受けました。
クイーン・アンの船体デザインは、姉妹船とは異なる「ピナクル」クラスですが、これもフィンカンティエリの設計に基づいており、親会社であるカーニバル・コーポレーションの新造船チームからの大きなインプットを受けています。
現代の造船は、計画から製造に至るまで、非常に高度な専門知識を必要とする複雑なプロセスです。まるで巨大なジグソーパズルを組み立てるような工程で、驚くべきスキルと技術力が求められます。
新しい船が建造される様子を見る度に、そのプロセスに関わる技術の高さに驚かされます。
クイーン・アンのプロジェクトは今、非常に重要で劇的な段階に入っています。船体は完成し、113,000トンの船を運航するために必要な機械や設備が整然と配置されています。現在は、上層階の宿泊デッキや操舵室の設置が進んでいます。自分の新しいオフィスを初めて見る時が待ち遠しいです。
デッキプランをじっくりと確認し、コンピューターで生成された船内施設の完成予想図を見ましたが、すでにエレガントな姿をしています。
ブライト・ライツ・ソサエティ・ラウンジやゴールデン・ライオン・パブなど、どこも素晴らしい体験を提供してくれること間違いなしです。
現在は足場で覆われたむき出しのスチール部分が多いですが、著名なデザイナーたちの美しいコンセプトが実現していく様子を見ながら、これから数ヶ月の進化を楽しみにしています。
9月に大きな節目を迎えた際、私は溶接用の保護具を身につけて、特別に作られた硬貨を船のキールに埋め込む役目を担いました。キュナードは『クイーン・アン』特製硬貨を発注し、これをアン女王の治世時代のオリジナル硬貨とともに密封容器に入れて保存しています。この硬貨は、クイーン・アンが世界中の海を航海する限り、操舵室の下の特別な場所に保管され続けます。
クイーン・アンがベニスを出発し、サウサンプトンへの初航海に出る日が来ると、この硬貨のことを思い出すことでしょう。
それまで、私たちはキュナードの船隊をさらに輝かせるために、特別な設備を整えていきます。最新情報は随時お伝えしますので、楽しみにしてください。また、約1年後に私の新しい船で皆様をお迎えできることを心から楽しみにしています。
待つ価値は必ずあります。