エスペランス、西オーストラリア州(オーストラリア)
オーストラリアのこの地域は、もともとヌーンガー族の集落がありました。彼らの足跡は何千年も前にさかのぼります。地域には洞窟壁画の例が複数あり、またルシェルシュ群島の島々では道具などが発見されています。
彼らは現在エスペランスがある地域をケパ・カールと呼びました。これには「ブーメランのような形の水辺があるところ」の意味があります。この名前は現在、エスペランス・ミュージアム・ヴィレッジ内のギャラリーの名前になっています。このギャラリーでは、アボリジニのアート作品や手工芸品を鑑賞できます。
かつてヨーロッパ人が沖を通過したこともありましたが、この海岸に初めて上陸したのはフランス人でした。彼らは1792年、行方不明の航海士を探しに出た遠征の一環としてここを訪れましたが、悪天候により上陸を余儀なくされました。ケープ・ル・グランは港を発見した船乗りにちなんで、入植地と沖合の群島は2隻の船、エスペランスとルシェルシュにちなんで名付けられました。
町自体は、1895年頃に金が発見されたあと、特に北に400kmほど離れたカルグーリー周辺に建設されました。エスペランス博物館では、写真、アンティーク家具や農機具のコレクション、機関車などが展示され、この地域の歴史を学ぶ貴重な機会となることでしょう。特に興味深い展示の1つは、より近年になって注目を浴びた、エスペランスの主な出来事の1つに関するものです。1979年、米国初で唯一の宇宙ステーション、スカイラブが大気圏に再突入中に分解し、多くの破片がこの町に落下しました。その多くが今日展示されています。
エスペランスにも十分な魅力がありますが、白砂のビーチ、御影石の岬、広大な牧草地など、素晴らしい海岸の風景も見逃せません。そのほとんどは保護区となっており、ケープ・ル・グラン国立公園も例外ではありません。公園は、海岸沿いのドライブを始め、ハイキング、サイクリング、サーフィン、カヤックやカヌーなど、さまざまなアクティビティをお楽しみいただける場所です。
「口笛を吹く岩」やアボリジニの「ドリームタイム」の概念に結びついた自然の地形が残る、シスルコーブを訪れてみませんか。ラッキー湾は、信じられないほどの白い砂浜に惹かれてカンガルーが日光浴をしに来ることで知られています。
エスペランスは町自体よりも、沖合の およそ100の島々が点在するルシェルシュ群島のほうが有名かもしれません。その中でウッディ島は最大級の島で、一般に公開されている唯一の島です。ここでは、湿地に棲む鳥たちを観察したり、シアウォーター湾でシュノーケリングしたりして過ごしましょう。
クーパー島はもう1つの見どころで、オーストラリアアシカやニュージーランドオットセイの人気の繁殖地です。一方、ミドル島では驚きの自然現象が見られます。緑に囲まれたヒリアー湖はストロベリーミルクシェイクのような色をしており、ターコイズブルーの海水とは細長い砂浜で隔てられています。この湖は遊覧飛行で観察するのが一番です。