ピクトン(ニュージーランド)
町自体も魅力にあふれています。町は保護された港を囲むように広がり、曲線を描く港は青く輝く海をそのダークグリーンの腕で包みこんでいるかのようです。海辺には、ドリンクや軽食を楽しんだり景色を満喫したりできるスポットがいくつかあります。景色を眺める他にも、複数あるギャラリーやショップをのぞいてお楽しみいただけます。マオリの伝統に触れる機会もあります。マオリ族の集会場オマカ・マラエでは、マオリの豊かな文化を紹介しています。
周囲の美しい自然をもっと体感するには、地元の主要な観光スポットであるクイーン・シャーロットトラックをハイキングするのもお勧めです。素晴らしい田園地帯の中を徒歩やマウンテンバイクで進むことができるさまざまなトレイルがあり、海辺の景色を眺めることのできるスポットも数多くあります。
トレイルから見える海の景色はマールボロ・サウンズです。古代の川により削られた広大な谷は現在、太平洋に面した1,440kmを超える海岸線を形成しています。木に覆われた急斜面の丘が海からそびえ立ち、カーブを描くように湾の砂浜を囲んでいます。カヤックやパドルボードで探検すると、アクティブかつリラックスして自然を間近で楽しむことができます。ペンギンやオットセイ、さまざまな種類の海鳥がこの海域に頻繁にやって来ます。ドルフィン・ウォッチング・クルーズは人気が高く、ダイビング好きの方におすすめです。
現存する最古の船の1つ、エドウィン・フォックス号に乗ってみることもできます。1853年にチークとサラソウジュを使って建造されたこの船は、クリミア戦争時の兵員などの輸送に使われました。フローレンス・ナイチンゲールはその乗客の1人と言われています。その他、西オーストラリア州への囚人たちの移送などに使われた後、1897年にピクトンで引退しました。それ以来、船はこちらに停留して、現在は海洋博物館となっています。
ピクトンは、海と起伏のある谷の間に広がる沖積平野の端に位置しており、かつてはマオリ族がここで狩猟や作物の栽培を行っていました。1873年、スコットランド人がこの地に初めて小さなブドウ畑を作りました。それからちょうど1世紀後、さまざまな好条件が重なり、ブドウ栽培が商業的な規模で行われるようになりました。この地域のワイン生産は、現在ニュージーランドワインの4分の3を占め、特にソーヴィニヨンブランとピノノワールが世界的に高い評価を得ています。ここのワイナリーでの試飲なしに、ニュージーランドワインは語れません。